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売上割戻しの計上時期
法人税では、売上割戻しの計上時期について、次の(1)から(3)のすべての条件を満たすときは、売上のあった事業年度の収益の額を減額することとされています(法人税基本通達2-1-1の11)。
(1)売上割戻しの算定基準(客観的なものに限ります)契約、取引慣行又は公表した方針等により相手方に明らかにされていること、又は期末までに内部的に決定されていること
(2)過去における実績を基礎とする等合理的な方法のうち、法人が継続して適用している方法により算定基準の基礎数値が見積られ、その見積りに基づき売上割戻し額が算定されていること
(3)(1)を明らかにする書類及び(2)の算定の根拠となる書類が保存されていること
また、上記の取扱いを適用しない場合は、売上割戻しの額を、相手先に通知又は支払をした日の属する事業年度の収益の額から減額することとされています(法人税基本通達2-1-1の12)。
例えば、令和6年3月31日決算の会社で、①売上割戻しの算定期間は令和6年1月1日から令和6年3月31日までで、得意先への割戻し額の通知と支払は令和6年4月に行う場合と、②売上割戻しの算定期間は令和6年1月1日から令和6年4月30日までで、得意先への割戻し額の通知と支払は令和6年5月に行う場合についてみていきます。
①の場合、契約で売上割戻しの算定基準(売上金額に応じて売上割戻し額を算定)が定められているときは、法人税基本通達2-1-1の11の条件の(1)は満たしていますし、決算日までに売上割戻しの計算基礎となる売上高は確定していますので、(2)も問題とならず、契約書と売上金額の証拠資料を保存しておけば(3)も満たしますので、販売のあった令和6年3月期の売上から減額することになります。契約で売上割戻しの算定基準が定められていないときでも、期末までに社内で算定基準が決定されている等、上記の(1)から(3)の条件を満たしていれば、販売のあった令和6年3月期の売上高から減額することになります。
②の場合は、売上割戻しの算定期間中に決算日が到来します。この場合、上記の(2)の見積り額が問題となりますが、見積り方法としては次の方法が考えられます。
ア.決算日までの売上金額に基づいて売上割戻しの算定基準を適用して計算した金額とする方法。
イ.過去の実績等から売上割戻しの算定期間末までの販売額を予測して、そのランクでの割戻し率で金額を計算する方法。
なお、法人税基本通達2-1-1の11の条件を満たしていない場合や法人税基本通達2-1-1の11を適用しない場合は、法人税基本通達2-1-1の12により、売上割戻し額は支払または通知を行った事業年度の収益から減額することになりますので、令和7年3月期の売上高を減額することになります。