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令和3年度税制改正~所得拡大促進税制の改正ポイント~
中小企業における所得拡大促進税制の見直し
所得拡大促進税制は、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税等から税額控除できる制度ですが、現状では、新型コロナの影響で経営環境の悪化が続く中、賃上げはおろか雇用維持への懸念も拡がっています。
そこで、中小企業全体として雇用を守りつつ、賃上げだけでなく、雇用を増加させる企業を下支えする観点から、適用要件を見直した上で、適用期限が2年延長されました。
改正の内容
① 給与等支給要件の見直し
給与等支給要件について、「継続雇用者給与等支給額」から「雇用者給与等支給額」の前年度比較とされ、企業全体の支給額の増加で判定されます。
この見直しにより継続雇用者の集計が不要となり、煩雑だった集計計算にかかる労力を削減でき、利用しやすくなりました。
② 上乗せ措置要件の見直し
原則15%の税額控除を25%とする上乗せ措置について、「継続雇用者給与等支給額」の前年度比2.5%以上増加との要件が、「雇用者給与等支給額」で前年度比2.5%以上増加とされました。
また、教育訓練費増加等の要件である中小企業等経営強化法の認定に係る計画について、中小企業事業再編投資損失準備金制度に係る経営力向上計画が追加されました。
③ その他
給与等の支給額から控除する金額の範囲が明確化され、前期(1)・(2)の要件を判定する場合には、雇用調整助成金は雇用者給与等支給額から控除しないこととされますが、税額控除率を乗ずる基礎となる金額は、雇用調整助成金を控除して計算した金額が上限となります。
④ 留意点
改正の適用期間は、令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する事業年度とされています。
人材確保等促進税制
大企業、中堅企業向けの所得拡大促進税制の見直しでは、新たな人材獲得及び人材育成の強化を促す観点から、新規雇用者に対する給与を一定割合以上増加させた場合、新規雇用者給与等支給額の一定割合を税額控除できる措置等が設けられ、「人材確保等促進税制」に改組されました。
改正の内容
① 給与等支給要件の見直し
これまでの「継続雇用者給与等支給額」の前年度比較から「新規雇用者給与等支給額」の前年度比較によるものに見直され、その増加率についても2%(改正前3%)以上であれば雇用者給与等支給額の対前年度増加額を上限に新規雇用者給与等支給額の15%の税額控除が受けられます。
※「新規雇用者給与等支給額」とは、国内事業所で新たに雇用した雇用保険法の一般被保険者に対しその雇用した日から1年以内に支給する給与等支給額です。
② 設備投資要件の見直し
これまで設けられていた「国内設備投資額が当期の減価償却費の総額の95%以上」の要件が廃止されています。
③ 税額控除率の上乗せ要件の見直し
税額控除率が上乗せできる教育訓練費の増加要件が、前年度比1.2倍であれば控除率が5%上乗せされ、20%の税額控除が受けられるよう要件の緩和が図られました。
中小企業における所得拡大促進税制(財務省資料)
〈改 正 前〉 | 〈改 正 後〉 |
---|---|
【要件】 ①継続雇用者給与等支給額:対前年度増加率1.5%以上 ②雇用者給与等支給額:対前年度を上回ること 【税額控除】 ・雇用者給与等支給額の対前年度増加額の15%の税額控除 ・継続雇用者給与等支給額の対前年度増加率が2.5%以上であり、かつ、教育訓練費増加等の要件※を満たす場合には、控除率10%上乗せ(→合計25%) ・税額控除額は法人税額の20%を限度 |
【要件】 ・雇用者給与等支給額:対前年度増加率1.5%以上 【税額控除】 ・雇用者給与等支給額の対前年度増加額の15%の税額控除 ・雇用者給与等支給額の対前年度増加率が2.5%以上であり、かつ、教育訓練費増加等の要件※を満たす場合には、控除率を10%上乗せ(→合計25%) ・税額控除額は法人税額の20%を限度 |
※教育訓練費増加等の要件:次のいずれかの要件
①陶器の教育訓練費≧前期の教育訓練費の1.1倍、②中小企業等経営強化法の認定に係る計画(【改正後】中小企業事業再編投資損失準備金制度に係る経営力向上計画の追加)における経営力向上の証明